『一路』(浅田次郎著)を読む

【父の不慮の死により家督を相続、交代寄合蒔坂家の御供頭として江戸への参勤を差配することになった小野寺一路、十九歳。二百年以上前に記された家伝の「行軍録」を唯一の手がかりに、古式に則った行列を仕立て、いざ江戸見参の道中へ。
 お役目を果たせなければ家禄召し上げという身で、一所懸命におのれの本分を全うしようとする一路。その前途に、真冬の中山道の難所が立ち塞がる。さらに行列の内部では、ひそかに御家乗っ取りの企みが......。】


時代物と言えば浅田次郎の定番となった感がある。

 実はこの本、去年暮れに読み始まったのだが、前置きを読んでる段階で返却期限がきてしまった物。改めて読んだが面白い。
 浅田次郎の本は、真剣に真実を掘り下げこれでもかと涙を誘うタイプ(壬生義士伝など)と、結構調子に乗って結果オーライ的なタイプ(ハッピーリタイアメントなど)の2種類に分かれると思う。これは、読み始めは前者かと思っていたら、意外に後者のノリでぐいぐい読ませてくれる。もちろん涙もありで、泣かせどころはちゃんと押えていて、きっちり泣かせてくれる。 
 そうそう鬼の栖(すみか)、冬の和田峠を登るシーンは圧巻。まさに「八甲田」を連想させるような行軍・・いや参勤交代の行列。皆が雪で固まったシーンはもう正直ダメかと思いました。殿の和田峠を下るシーンは、あの名エッセイ集「勇気凛々ルリの色」の万里の長城を下るシーンを思いださせ、もう最高。
 そして、御姫様とのロマンスあり。さらには・・・やっちゃいましたね浅田次郎さん。ついに自分の小説に、自分と一字違いの名をもつ”浅次郎”を登場させました。まあ重要な役どころですが。
 涙あり、笑いあり、ロマンスあり、冒険あり、御家騒動ありの真面目に楽しめる小説でした。


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あの大雪の日。この道を作るのに30分かかった。
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by yagisan123 | 2014-03-09 10:27 | | Comments(0)